「私とJAM」

 1990年。新宿JAMの10周年記念CDとして『曲者』というオムニバスCDが発売されました。↓このCDです。
https://www.discogs.com/ja/Various-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E6%96%B0%E5%AE%BFJam-10%E5%91%A8%E5%B9%B4%E8%A8%98%E5%BF%B5CD%E6%9B%B2%E8%80%85-Kyoku-Mono/release/2735201

 

 この中に、 当時、まだブルーハーツだった甲本ヒロトが朗読というかたちで参加しています。朗読のタイトルは「私とJAM」でした。

 

 ことの真偽はわかりません。
 ただ、当時の私は「ヒロトは契約の関係で楽曲で参加できないから朗読で参加しているんだ」という話を信じていました。CDを聴くまでは「ロックっていっても、やっぱり大人の都合がいろいろあるんだよな」という斜に構えた気持ちで。そして、CDを聴いてからは、ものすごく楽しい気持ちで。

 

 ヒロトの朗読は、「詩の朗読」ではなくて「作文の朗読」でした。
 「私とJAM」 というお題で作文を書かされた 小学生のような淡々とした表現で、やはり、小学生が作文を読み上げるように、とつとつと読み上げていました。

 

 これが、すごくよいのです。

 

 そして、1回聴いてしまうと、新宿JAMの10周年を記念したCDの締めは、むしろこの作文の朗読であるべきじゃないかと思うようになりました。

 


 ロックとは何か。パンクとは何か。
 いろんな定義の仕方があると思うんですが、私にとって、ロックやパンクというのは、私を元気にしてくれるものです。
 
 ことの真偽はわかりません。
 ただ、私は、これからもヒロトは契約の関係で楽曲で参加できないから作文の朗読で参加したことにしておきたいと思っています。理由は簡単で、その方がかっこよくて、痛快だからです。

 

 制約に負けて、そのまま下を向いちゃうんじゃなくて、作戦を変えて、決めちゃう。
 痛快じゃないですか。

 


 2017年7月18日。熱い夏のはじまりに、新宿JAM閉店の報せが入りました。
 私は凡人なので、なんとなくしんみりしてしまうけど、でも、きっと大丈夫。今度も誰かが痛快に決めてくれる。